現代におけるタブレット端末やスマートフォン等によるICTの利用が非常に高まっている。
しかし、B型作業所では現状、ICT活用に興味を示している傾向にありながら「ICTの担当が決められている」が「18.82%」と非常に低い。

その理由がICT機器の整備基金(インフラ整備)が高価であるという理由が約80%と高かった。

確かにインフラ整備は高価であるが、パソコン、スマートフォン、タブレット端末は直感的、視覚的であり知的障害者のみならず精神障害者にも利用しやすいツールである。

ICTはかつては身体障害者のコミュニケーション等で活躍はされてはいたが、今後は知的障害者、精神障害者へのソーシャルワーク支援が必要になってくる。

東洋大学福祉社会開発センターによる研究報告では、書籍や実践報告を含めると特別支援教育における研究、開発におけるICT利用が進んでいると書かれている。

しかし、データによると、
①『ICT担当者が決められていない』が「81.18%」であり、
②『ICTに関するキーパーソンがいない。』が「67.80%」と、
③「ICT機器としての活用状況」の質問に「どちらでもない」が「38.97%」で「整備されるべきだとは思わない」が「33.52%」と非常に低い。

また、「あなたの施設ではICTに関する研修を実施しているか」という質問に、「実施していない」との答えが「91.72%」でほとんどICT教育がなされていないのが実情である。

よって障害者にとってパソコンやタブレット端末によるアクセシビリティ機能やその利用頻度は非常に低いと言わざるを得ない。

現状での施設でのICT機器のメインはタブレット端末でもスマートフォンでもなくパーソナルコンピューター(パソコン)である。

研究データでも「あなたの施設ではLAN(施設内のパソコンのネットワーク)が整備されているか」との問いに、「整備されている」が「84.72%」で、「パソコンを整備している」が「98.33%」とのデータが出ている。

利用状況では

①施設の職員が利用している(85.73%)
②施設利用者が利用している(22.35%)

と施設利用者のパソコンの活用状況が低迷していて、「利用者自身がICT機器を活用できない点はどこに問題があるか」とのデータでも

①「アダルトサイトや有料サイトなどの心配」が「68.44%」
②「犯罪に巻き込まれる可能性がある」が「64.06%」

というデータが浮き彫りになり、施設内の職員(健常者)が利用しているのがほとんどである。

利用者のパソコン整備状況が全体の「34.01%」と、職員の「98.33%」のそれに対して非常に低く、パソコンの必要性について、職員が「81.89%」と高いのに対し利用者のそれは「36.96%」とパソコンに対する意識低下が如実に浮かび上がっている。

現在、パーソナルコンピューターの他に特に期待されているのがiPadに代表されるタブレット端末で、タブレット端末はタッチパネルによる直感的な操作であり、多くの人になじみ易い。

タブレット端末は以下の利点がある。

①動画や音声の扱いに優れている。
②言葉や文字で伝送するよりも物事を分かりやすくできる。
③タブレット端末の教材は反復利用が簡単である
④繰り返し学習を行う事にも優れている。
⑤タブレット端末は簡単に持ち運びが可能である。

またタブレット端末では「アプリ」と呼ばれるソフトウェアを組み込んで利用することが可能であり、現在は多種多様なアプリケーションが開発、公開されており利用者はその中から自由に選んで使用することが出来、アプリケーションの中には障害者がはじめから使いやすいようにするためのアクセシビリティ機能が搭載されているものが多く、使用者の特性に合わせて使用することができる。

データでは身体障害者よりも知的障害者・精神障害者の割合が高く、知的障害者や精神障害者の人などは対人恐怖症などで対面での会話などのコミュニケーションが苦手な人でも電子メールやLINEなどのアプリケーションを使う事によって協調性が計られ、重い障害を持つ人でも音声や絵カードなどを使って職員あるいは利用者に自分の気持ちを伝えることが可能になる。

前述のようにタブレット端末はB型作業所では非常に有効なICT機器であるが、以下の理由から普及に至っていない。

①機器が高価である
②利用者にとって操作が難しい。
③犯罪に巻き込まれる可能性がある。
④障害者に適したアプリケーションがまだまだ少ない
⑤プライバシーやセキュリティの問題に課題がある

しかし東洋大学福祉社会研究センターでは、「タブレット端末はあくまで従来までにあったアナログ的作業を支援にとって代わるものではなくあくまで補完するものである。」と書かれている。

このデータはパソコンなどでも同様のデータが出ており、B型作業所へのICT機器の導入には例えば専門家(スペシャリスト)によるプライバシーやセキュリティの対策データ構築などが必要となると思慮されるが、現代は情報化社会と言われるように様々なICT[機器が身の回りに溢れており、私たちの生活にはなくてはならないものである。

タブレット端末やパーソナルコンピューターなどのICT機器を利用することで日々の生活を快適かつ効率的に豊かにするものになり職業選択の幅が広がる可能性もある。

ICT機器を取り入れることで、ICT機器の取り扱いに慣れ親しみ、正しい使い方を学ぶことはこの情報化社会では絶対に必要なことである。

障がいのある人の自立や積極的社会参加を進めるための支援手段の一つとしてICT利用が有効なことは、


①施設全体としてICTを活用するべきだ (57.22%)
②支援記録の作成にICTを活用するべきだ(41.50%)

と、非常に高く、支援手段の1つとしてICT利用の活用はその方法や効果について研究が進むことが期待される。

自分の意志や気持ちを言葉というコミュニケーションで伝えるのが困難な利用者に対して、支援者(職員)がいかにして彼らの奥低にあるものを引き出せるかが、支援方法を考えるうえでも重要になる。

利用者本人に限ったポイントを絞った具体的な支援を行っていくにはICTの活用はかなり有効であると感じた。

今後は、生活にかかわるものや日中活動である作業に関わるものだけではなく、
就労支援へのICTの利用、活用についての検討も必要であろう。

出典元 東洋大学福祉社会研究センター「就労継続支援B型サービス提供者のICT利用の実態・意識調査について

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